芝居を手にした黄兎の日々

芝居を再び手にした私が繰り広げる、やや外れた日々。
でも、きっと面白い日々に違いない。
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【舞台】 5人の志願兵

富山大学の劇団、劇団ふだいさんの公演を観に行ってきました。
大学演劇って私は好きなんですよね。
元々大学演劇から入ったせいもあるかもしれないけど、
大学生の演劇って自由な感じがしていて好きです。

大学生当時も、本当にしょーもない台本とか、
熱量ありきの演劇とか、無駄に夜練習したりとか、
そんなのばっかりだった気がします。(笑)


2014年度 劇団ふだい 冬季公演
「5人の志願兵」
1月18日(日)13:30の回
小劇場オルビス 上手側にて観劇



タイトルの「5人の志願兵」から、社会派な雰囲気が
漂っているな、という感じがしましたが、
観に行かれた皆様はどうだったでしょうか。
昨今の近隣国等の状況や情勢、これから先の時代の
ことを思うとこんな時間が突然起こるかもしれない、
いや、世界のどこかでは起きている、そう
思う方もいらっしゃったかもしれません。
なかなかに難しい素材だけれども、私よりももっと
若い世代がどう感じているか、それを少し垣間見られる
時間になったかもしれませんね。

基本的に、ここ、ふだいの劇団員はレベルが高いなと
思っています。
考えて自分の役柄をどうしたいかというのもあるし、
それを演じることに反映させる力もある。
特に不器用な男性役者も多い中で、ふだいのメンバーは
レベルが高いと思っています。

今回も、誰が下手、ということもなく、きちんと自分が
できることをやっているなと思いました。
集中力もあるし、キャラクターの魅力も持っている子が
本当に多くて羨ましいです。いや本当、一緒に芝居を
してみたいなと思いますよね。

演劇ってある程度頭の回転がよくないと出来ない、と
思っています。やれば出来るけど、不自由な感じ。

台本も、最後までオチをつけて書ききっているし、
物凄くダメでもない。1つの作品として作り上げる力も
あるんだなと思います。
感情の流れも、物凄く違和感がある、とかそういうのは
ないと思うし、きちんとそこは演出さんが考えて
役者達に伝えて演じてもらっているんだろうな、と
思います。難しいものに挑戦した、という感じもします。

本当、こんなに真面目な創作台本ないですよ〜(笑)
大学生で(笑)
今思い返すといや、大学生当時はバカな台本多かったなー(笑)
ふだいの子達の真面目に演劇に取り組む熱量とか力を
凄く感じる舞台でした。
演劇、生でみるからこそ、本当に今この役者さんたちの
よさがあったなと思います。
「大学生ならもっと大学生らしい熱とかみせてよ!」
って全然思わないです。そういう熱とかは本当、あると
思います。そういうのを期待して、求めて観に行くのならば
ふだいはいい劇団だなって思います。


そんなわけで、ここから先は、もうちょっとこうしたら
よくなるんじゃないか?このふだいの役者さんたちは
伸びるんじゃないか?ってことを書こうと思います。
勝手に思って書いているので、(内部事情もよく知らず)
的外れなこともあるかもしれませんが、おのおの判断で
みていただければと思います。演劇老害の一個人の
感想、ということで。

出口でアンケート待っててくれた役者のみんなごめんね。
短い時間じゃ書けないからね(笑)

それでは、それでもいいという方は適当にお茶でも
飲みながら読んで下さいね。

■台本の取捨選択

「5人の志願兵」っていうことで、それぞれの理由で
志願兵になってきますし、それぞれの理由が生まれます。
その部分も盛り込まれていて、そつなく必要なことを
押さえているなと思いました。
ただ、最後まで観た感じだと、全体に同じような分量や密度で
描かなくてもよかったかなという気もしました。

最後まで生き残るのが主人公で、その主人公に道や
意思や迷いや葛藤なんかを周りが与えていく。
最後まで観ていくとそういう道筋があるんだけれど、
見ていく途中でそれを見ている人に感じさせる、
というのがちょっと弱いかなと思いました。

台本の時点で、この完成した完成形から、もうひとつ
詰めていければ、「何をどう見せるか」という部分が
はっきりしたかなと思います。

全体を描いて密度が薄くなってしまうのなら、
何かを捨てて、何かを濃くする。
漫画を描く過程でもそうですが、盛り込みたいと思った
ことがあるけれども、それが全体にとってふさわしく
ないようなら、泣いてもカットする。
ブラッシュアップしたり推敲したりする作業は
どちらかというと削っていく作業かもしれないと
思っています。
だから、最初の段階でとにかく詰めまくる。
詰めてそれを整理して削っていく。
書き方は沢山あってそれはそれぞれだと思うのだけれど、
もっと深めるなら、深めるような作り方もした方が
いいのかなと思いました。

それなら、主人公を描くことに集中して、その周りは
主人公を深めることに徹する。
もし全体を深くしたいなら、全体を濃くする。
それぞれの役のシーンに見ている人が納得する理由を
濃くつける。それは台詞だけでなく、演技でもそう。
それこそ、その役者が持っている価値観とか考え方を
汲み取った上で台詞にする。
(今そういうワークショップ形式から役者の個性を
 反映させるパターンも増えてますよね。)
そうでなければ、説得力が生まれない。
それぞれの役者の生きている中で持っているものしか
説得力につながらないと思います。

大学演劇で、時間制限とかないんだから、そこは臆せずに、
全体を深めたいんだったら時間を長くして深めれば
いいと思うし。とにもかくにも真面目だな、と思いました。
真剣に、真摯に取り組んでいる感じが作品にも
でているのは凄くいいことだなと思いました。
そういうよさはこの作品にとてもあるなと思いました。



■演出のこんな形

最終的に主人公が老兵と同じ道を歩む、というループが
生まれる、という感じで、キレイにまとまったなという
感じがしました。見ている方もすっきりつながったので、
ストレスなく観終われたかなと思いました。

最後の主人公が1つずつ装備しているものを置いていく
演出は個人的には凄く好きです。あぁ、上手いなって
思いました。見ている方にもそれだけのことなのに
伝わることってあると思います。

そこで脱いだだけで終わってしまうのがちょっと
勿体無かったかなと思うのと、世界観がわかりにくいな
っていうのがありました。

この作品の世界として、それは
・今の時代とつながっているのか(今、なのか)
・未来の話なのか、過去の話なのか(多分未来?)
 未来だとしたらどのくらい先の話なのか
・今の世界とパラレルなのか
などなど、どんな時間を切り取っているのか
わかりにくかったので、ちょっと世界に入りにくいな
って思いました。

多分今より先の未来で、その時代は近隣国と
やんごとなき状況に置かれている。
その中で志願兵として志願することができる。
ただし、それまでの志願兵は観測等をするだけで
実際の戦闘に発展することもなかった。
んー、こんな感じでしょうか。

例えばこれが今の時代と地続きで、
主人公も今時よくあるような就職したけれども、
3ヶ月で辞めてしまったとか。
それを恥じた両親が志願兵に勝手に応募。
そこから戻ってきてまた社会に出るけれども、
後ろ指を差される社会で過ごすことになる。
そういう流れがあったとしたら、最後の服を脱いだ
後にスーツを着てその時間を過ごしている、
ということを伝える演出もできるんじゃないかなと
思います。

でも、こういった演出をつけるためには、
台本の時点で主人公の生き方やどう展開して
何を伝える必要があるかっていう部分を
書いておかないといけない。
それをわかりやすくしたり、細かくしたり、
情報を多くしたり色をつけたり音をつけたり、
そういう修飾する作業が演出だと思うのです。

そういう部分では、台本の形がしっかりしているので、
演出はやれることが沢山あるんじゃないかなと
思いました。

人間は感情があって、動きがあって、言葉がある。
演劇はその感情と動きが大きな位置を占めるものだと
思います。よくみかけるけれど、言葉にばっかり
頼りすぎて動きと感情が合っていない、っていう
ことも。その点はきちんと演出でカバーを
してほしいなと思うところです。


■役者と演出

ふだいの役者さんたちはレベルが高いなと
いつも思います。
きちんと考えられる力を持っているなっていうのも
悩みながら作ってる部分もあるなとか。
役者さんのまっすぐさとか熱量とか、本当に
観ていて気持ちがいいです。

もうちょっと手を加えたら、演出をつけたら
ぐんと伸びるんじゃないかなっていうところも
あるのかなとかも、もちろんあるとは思いますが。


山本:迷っている感じとか頼りない感じとか
そういう部分がこの役者さんにもあるのかなー、
そういう部分がよくでてるなーと思いました。
いいなーと思う部分がある反面、緩急が欲しい。
これは演出の部分でもあるんだけど、押してばかりの
演技なので、抜く、力を抜く芝居っていうのも
合わせて「弱い」とか「迷い」っていうのを
表現する部分があってほしいかなと思いました。

石原:本当、この役者さんイケメンだよね!
それがいい。ちょっと他の人と感覚がズレている
役どころなんだけれども、それもちゃんと
伝わっていて、キャラが立っているなと思いました。
更に差別化をするのなら、そのズレている感が、
他の人と比べて頭が良すぎるからなのか、
悪くてバカだからなのか、そういう根本があると
もっと魅力的になったかなと思います。
今のだと、うーん、バカだからなのかな?
っていう感じで、輪郭がくっきりしないまま
伝わっているんじゃないかなと思います。
あと、足腰がいい。銃を構えて発砲するところの
足腰の形がきれいで説得力があるなと思いました。

田中:この役者さんは本当に上手いなと思います。
本人の素からは思えないほど、いろんな役柄が
できている感じがして、幅が広い役者さんに
なれるんじゃないかなと思います。
「教員」という立場から、「個」の部分がでるところ
とか、上手く切り替わって流れて行っているなと
思いました。背が高いので、きちんと動きをすること。
ちょっとでも動きがブレたり、感情と連動していないと
物凄くぎこちなく見えます。
大きく動けるととても見栄えがするので、きちんと
感情と動きをつなげていけるといいなと思います。

明張:台詞の持っている力とか、感情の強さを
シャープに出せる役者さんだなと思いました。
その分、今回の役であれば、他の人よりも年齢が
上であるとか階級が上であるとかいう部分を
器の大きさとか余裕とかで表現して欲しかった
かなと思います。
他の人と同じに見えてしまうので、しゃべりかたの
スピード、オンとオフの切り分け(軍人とそうでない
時)で、力の入りと抜きを使って欲しいなと思いました。

安井:細かい台詞の最後まで丁寧に出していて、
その丁寧さや器用さが印象に残りました。
65歳は今の時代中年くらい、とくくってもいいけれど、
演劇としてそう表現するよりは、ある程度「枠組み」
として65歳くらい(=おじいさんくらい)を表現した
方がお客さんには伝わりやすいと思いました。
しゃべり方もだけれど、特にスピード。
この人は他の人たちとは絶対的に違うので、それを
表現するためにも、もっとゆっくりしゃべって
欲しかったな、と。
これは演出の部分でもあるんだけれど。


全体的には、気持ちでしゃべっているのはとてもいいこと
だと思いました。それが反面、身体にその感情が
伝わっていなくて棒立ちなので、きちんと身体に
つなげること。
気持ちが台詞よりも走っているときは、
きちんと自分の感情と、自分が表現できるスピードの
しゃべり方を考えること。滑舌が悪い場合は、
気持ちに身体がついていっていないせいなのか、
本当に口が回っていないだけなのかを見極めること。

それから、緩急が圧倒的に無い。
全て押しの芝居なので、見ている方も疲れてしまう。
これは全体の演出でもあるんだけれど、きちんと抜いた
芝居の部分をつくる。田中と明張のシーンはもっと
抜きの芝居でいい。
それから、最後の山本が日常に戻ったシーンは、
普通すぎるんじゃないかなと思いました。
人を打ったことで、彼の中に何か変化があったはず。
その表現がわかりにくいかな、と。
狂っているんじゃないかなーと。精神的に。
じゃあどう狂っているか、正常と異常のどの地点に
立っているのか。そういう部分もあってもよかったの
かなぁと思いました。

こういう軍事的なものは難しいんですよね。
銃を扱うっていうだけで、結構色々苦労したんじゃ
ないかなと思います。調べたり研究したりも
大変だったろうなと。
ファンタジー、フィクションな部分があるんだけど、
もちろんご都合的な部分もあるんだけど、
お客さんが見ていてあれ?と思う部分は少なく
した方がいいのかなと。

立ち上がって会話をしている所は、この戦況下では
ちょっと違和感があるかなと。
土嚢の舞台セットも割りとカッコイイなと思って
いたのですが、そこに隠れながら会話をするとか、
そういうものを生かすなら、お客さんから
見えるように、ひとつでもふたつでも高さを
あげればいいと思います。
舞台よりも客席が低い場合は舞台がフラットでも
いいと思うのですが、舞台よりも客席が高くなる
場合は、お客さんの目線を考えた舞台セットを
考えるっていうのもいいんじゃないかなと
思います。


根底としてもっと色々深めたり、濃くしたり、
っていうことはあるのかなと思いますが、
ちょっと気をつければよくすることが
できるんじゃないかな、というところで思った
ことを書いてみました。
本公演時間の倍くらい書くのに時間がかかったよ!(笑)

というわけで、長々と、本当に長々と書いていますが、
公演に関わった皆様、お疲れ様でした。


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この記事に対するコメント

ご来場いただきありがとうございます!
とても参考になるコメントを頂けて感謝しております。
今回初の脚本演出というのもあって、指摘された通り、切る部分、魅せたい部分の取捨選択は甘かったなと反省もしております。
しかし、今回「学生」であるうちだからと盛り込みたい部分は全部台本に残してみました。
結果としてまとまりが弱く、緩急もほとんどなくなってしまいましたが……。
アンケートも拝見しました。
色々と疑問点や質問がほかの方々からも寄せられていたので、またふだいの日誌のほうで捕捉させていただきます。

このたびはご来場いただき、また貴重なコメントを下さりありがとうございました!
T.N.Chaos | 2015/01/19 11:20 PM
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