芝居を手にした黄兎の日々

芝居を再び手にした私が繰り広げる、やや外れた日々。
でも、きっと面白い日々に違いない。
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【本】 幕が上がる

幕が上がる (講談社文庫)

2012年に単行本で出版された平田オリザさんの
「幕が上がる」が文庫化。

とある高校の演劇部を題材にした作品。
高校演劇の審査委員もつとめているオリザさん。
全てこの小説の通りに思っているかはわかりませんが、
興味深い描写や登場人物たちの台詞が
高校演劇経験者、演劇を知るものにとっては
とても面白く感じられると思います。

単行本が出たときのtwitterまとめ
http://togetter.com/li/403517

■「そうだよな」と思うこと

先ほども書いたのですが、
”全てこの小説の通りに思っているかはわからないけれど
 面白いなと思うこと”

・高校演劇ってあまりいいイメージがないのよね
・高校演劇と大学演劇は違うって


この小説の中では、「高校演劇」と「大学からの演劇」が
はっきりと分けて考えられている。
大学の演劇サークルにいたときも、高校演劇からの
メンバーがいたけれど、本当にそういうことを
先輩からも言われたことがある。
高校演劇の演技からどう抜けるか、というのもその役者の
成長として見られるんだなと思った。


・高校生らしさって何。それは大人になって大人からみたら
 あれは高校生らしさだったんじゃないかっていうことじゃ
 ないのか。


これは放送部の作品作りでも同じことが言えると思う。
この審査基準の「高校生らしさ」とは一体何ぞや、という(笑)
この言葉通り、私も今になってみれば、高校生らしさという
ものがこの部分で、ここに目をつければいいんじゃないかと
おぼろげに思うのである。
渦中の高校生にしてみたら、そんなドラマティックなことは
日常に転がっていないし、高校生らしさなんてものはない
としかいいようがないと思う。
どんな些細なことも大きな世界に思えること、
はっきりしない混沌としたこと、
その時期にしか感じることが出来ないことに目を向ける
というのは本当に難しいことだと思う。


・高校演劇で老け役が上手い子がいるが、それはプロでは
 通用しない。プロはその年齢の人が演じるから。


同じ年代で年齢差を演じなければいけないというのは
本当に難しい。ずっと同じ役回りをしていて、
それに慣れてしまっていて、別の環境でいざ自分の
個性をだしてくださいなんて言われてしまうと
戸惑ってしまう。
今地方のアマチュアなんかでやっているけれど、
「それ相応の年齢の人がその年齢を演じる」という部分に
面白さを感じてもらえるというのは新鮮だった。


・下手な子が難しい台詞を言わなくていい
・だから本当に上手い顧問創作は、下手だけど
 頑張っている子には短くてウケがとれる役をあてる
・芝居にとって、演劇にとっていいか疑問もあるけれど、
 でも、そうすれば勝てる。


ここで思ったのは、オリザさんが「勝てる」と言ったこと。
この価値観をこうもあっさりと言えてしまうのか、と
やや驚き。でも、私なんかは高校演劇や放送は、
お客様に向けて公演されるものとは違うと思っているので、
こう言い切ってくれるとやっぱりそうなのか、と
思った。

勝てる演劇は、きちんと「あてがき」されていたり、
「キャスティングが完璧」と言った部分が大きいと思う。
その子が本当に思っていることやできることを
リアルに役に反映することができるというのが
一番説得力を生むのに近道だと思う。
もちろん、アマチュアでも稽古の労力や完成度を
考えるとこの点は守ったほうがいいと思う。

それから、この作品での大会は
「全国高等学校総合文化祭」のことを差している。

この大会は次年度の全国大会の予選を1年前に行う。
だから、1、2年生で役者を構成すると、全国大会時には
2、3年生が演じることになる。
予選の時点で3年生が居た場合は3年生の役を
別の役者が演じることになる。
私は放送部にいたのだが、これゆえ、予選大会へは
1、2年生しか出場できなかった。

また、「マクベス」を題材にした作品は
中屋敷さんの「贋作マクベス」の話だと思う。
【中屋敷法仁インタビュー】自分には、演劇しかなかった。

これ、高校演劇関係者とか笑うポイントなんじゃ
ないかと思うな(笑)バレバレじゃん!みたいな(笑)

こんな感じの話が前半にぎゅっと詰め込まれていて、
あぁ、これはもう高校演劇をやっている子たちに
すごく味方している作品なんだなと。
審査員の審査の講評とか、顧問の関わり方で強い弱いが
学校ごとにあったりとか。
オリザさんも凄く取材して書かれる方だと思っているん
だけれど、本当にこれは生の声が沢山つまってるなと
思いました。


■演出ってなんだかわからないよ

「演出」と言われてもそれがどういうことなのか
はっきり言える人なんてほとんどいないと思う。
私も、何が演出で、どうすることが演出なのか、
よくわからない。
それがこの作品ではとてもわかりやすく書かれていると
思う。具体的にどうすることか、何がいい演出家か。


・一人一人の俳優の個性をみて指示をだしてくれる。
 それがとても的確で、その人のためにすぐなっている
 これが演出家だって。
・稽古をすればするほどつまらなくなっていく。
 偶然の面白さに頼っていると劣化していく。
 計算された演技だけが残っていく。
・相手役が(台詞などを)受け取ってくれると信じて
 厳しいところへパスを出す。
・「リアルとフィクションの境目を曖昧にする」
・細かいダメだしの一つ一つをどう役者に伝えるかも
 演出家の仕事。アノ子には自信をもたせるように、
 この子には細かく厳しく。


最後まで読めば、きっとどういう風に役者と作品と
向き合っていくのがいいのかわかるんじゃないかと思う。
吉岡先生や高橋さんのように向き合ってくれたら、
本当に役者は嬉しいと思う。


こんな演劇の裏の話みたいなところを抜きにしても、
作・演出の高橋が歩んだところを後ろから見ていけば、
とても面白い青春劇としてみることが出来ると思う。

演劇をちょっと知っていれば、きっともっと
面白いとは思うけれど。


そんでもって興味深かったのが、「ドラマターグ」という
役割!

ドラマトゥルク
役割としては色々幅広いみたいですが、
「作品の背景の資料や参考資料などを集める」
「客観的に演出部にも意見を出す」
「作品と演出家を結びつける」
などなど。
制作的な立場から補佐的に演出の仕事をする、
みたいな感じのたち位置でしょうか。

こういう役割興味あるなぁと思って、新しい
発見でした。


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